令和6年度 中小企業診断士試験 第2次試験(筆記試験) 事例Ⅰ 分析・解法
中小企業診断士として複業を目指すKatsuです。
本日は令和6年度の中小企業診断士試験の筆記試験、事例Ⅰについて書きます。
解答についての解説はよく見ますが、本文へのアプローチについてはあまりないため、筆記試験中にどのようマーキングや分析をしていたか紹介します。
まずは設問を読みどんなことが聞かれているかチェックした上で、与件文に挑みます。
〈設問〉
問1:A社の2000年当時における(a)強みと(b)弱みについて、それぞれ30字以内で答えよ
問2:なぜ、A社は、首都圏の市場を開拓するためにプロジェクトチームを組織したのか。また、長女(後の2代目)をプロジェクトリーダーに任命した狙いは何か。100字以内で答えよ。
問3:なぜ、Z社はA社に案件を持ちかけたのか。100字以内で答えよ。
問4:今後、A社が3PL事業者となるための事業展開について、以下の設問に答えよ。
設問1:2024年の創業経営者の助言による配置転換の狙いは何か。80字以内で答えよ。
設問2:A社がZ社との取引関係を強化していくために必要な施策を、100字以内で助言せよ。
ここからわかることは強みと弱みや業務委託の背景や時系列に注目すべきことがわかります。
例年の問題とあまり変わらないですね。
では与件文を見てみましょう。私のスタイルはマーカー一色と書き込みで分析します。
青字が該当箇所(鉛筆下線)で赤字が私のコメント(書き込み)です。
〈与件文〉
創業期
A社は、1975年創業の物流サービス企業で、従業員数は120名、売上高は30億円である。創業者はトラック1台から事業を立ち上げた。地元での地道な経営が功を奏し、徐々に売上高を伸ばし、トラック台数を増やすとともに営業所を開設した。しかし、A社が創業当時、営業区域が規制により限られており、1顧客にトラック1台(貸切)で対応する必要があった。他の荷主との混載ができなかったため、積載効率が悪く収益性が低かった。また、当時の主要顧客は中小零細の事業者であり、長期的な契約ではなく、スポット取引が中心であり、取扱品の種類も顧客によってさまざまであった
1985年
創業後10年が経過する頃、取扱量が急速に増加したことに伴い、A社では、それに対応するため、2箇所目の営業所を設置した。さらに、自社保有のトラックでは取扱量に対応できなかったため、協力企業に輸送業務を委託することにした。A社では、自社でトラック運転手を雇用する運送部を設置するとともに、地域の小規模トラック運送企業をメンバーとする協力会を組織して対応した。創業経営者は、この協力会の運営を、この頃A社に入社した非一族の経営幹部に任せることにした。
1990年
1990年に参入規制が緩和(市場の転換)されたことにより、新規参入事業者が急増し、価格競争が激化した。A社では、料金の値下げ要請や新たなライバルの出現の影響を受け、取引量が減少した。そのためA社では、地元顧客のニーズにきめ細かく対応することで、価格競争を避け地元密着型の質の高い輸送サービスを志向(強み)した。A社は協力会社事業者の参加条件を定め、条件に適合するメンバーのみに輸送業務を委託する仕組みを構築(強み)した。A社の経営幹部は、地元特有の荷主のニーズを収集するとともに、その情報を協力会の事業者間で共有することで、地元の生産者や食品卸などの多様な荷主からの信頼を獲得(強み)した。A社は、地域物流のコーディネーターとしての役割を果たし、協力会事業者との連携関係(強み)を築いた。
2000年
2000年に、A社は倉庫管理事業に参入した。A社の近隣地域に中小製造業が立地し、倉庫保管ニーズの高まり(顧客)を見せていた。この頃、競合の物流事業者も相次いで物流拠点を建設したが、荷主からの仕分け作業を行う輸送拠点に過ぎず保管機能を持っていなかった(競合)。それに対して、A社では自社で倉庫を保有(強み)し、流通加工や適切な温度・湿度で管理するサービスを提供することで、地元顧客のニーズに対応することができた。一方で組織に関しては旧態依然の管理体質(弱み)が温存されていた。
同じ頃、県内で食品スーパーを展開するX社から引き合い(機会)があり、A社の倉庫を拠点にしてX社の各店舗への輸送業務を長期契約で請け負うことになった。A社にとって、企業の物流機能の一部を担う初めての経験となった。A社は、X社との取引を通じて、入荷・ピッキング・包装・仕訳や温度管理といった一連の保管業務や流通加工の能力を高めた(強み)。一方、物流取扱量の増加に伴い、紙の伝票管理など受注管理面において非効率(弱み)が生じていた。もともと、創業経営者は地元密着型の営業方針であったことから、A社に入社した従業員たちも地元志向(組織特性)が強かった。また、この頃のA社は既存顧客との関係が強い(強み)反面、顧客との新規開拓力が弱かった(弱み)。
2010年
他方、2010年頃、県外との輸送の引き合いが増加してきた。そのような中、大手物流企業で物流企画部門や営業部門経験してきた創業経営者の長女からA社に入社したい意向が示された。長女は首都圏での物流需要に可能性(機会)を見出していた。創業経営者は、長女をプロジェクトリーダーに任命し、若手社員1名、首都圏での新規採用社員1名とともにプロジェクトチームを組織させて新市場開拓(両利きの経営)を担わせた。
プロジェクトチームは、当初スポット取引で首都圏の荷主企業より物流企画業務を少しずつ受託していった。2011年に、プロジェクチームは解散し首都圏事業部として再出発することになった(本社の運送部と倉庫部は県内事業部として発足)。首都圏事業部は、企業の物流業務の一部を受託し、トラック車両や倉庫を保有せず、首都圏の運送事業者や倉庫事業者を外部委託先としてコーディネートしてサービスを提供(3PL)する業務を始めた。その結果、長女と同窓であった外食チェーンY社の経営者から案件を受託(長女効果)した。Y社との取引を通じて、首都圏事業部は、受注処理の効率化や各店舗の在庫管理のノウハウを蓄積(強み)することができた。他方、県内事業部との業務の連携はほとんどなされていない(弱み)状況であった。
2020年
2020年に、長女が2代目経営者に就任した。しかし、長女が事業部長を務めた首都圏事業部と異なり、県内事業部は年功序列的で古い慣習が残る組織体質(弱み)であった。そのため、長女は、古くからいる経営幹部に県内事業部のマネジメントを一任(慣習対応)していた。
この時期、受注管理や在庫管理の高度化が要請されるようになった。従来、首都圏事業部では、情報システム構築や保守は外注していたが、情報システム自体が汎用品であり、コストが高い割に首都圏事業部の物流ノウハウに適合しない(課題)こともあった。
2代目は、大手情報システム会社で物流システム構築に従事していた長男をA社に呼び戻した(システム対応)。首都圏事業部にて新たに情報システム部を設立し、入社早々の長男を部長に任命するなど異例の抜擢を行なった。さらに、長男の要望に基づいてプロパーの専門職を数名雇用した。
以下の図は2020年当時のA社の組織図を示している。

首都圏事業部は、比較的小さなそしきであったため、2台目と長男との間でさまざまな意思決定がなされた。長男は、やや独断的な面もあったが、持ち前の物流システム提案力を活かし、首都圏企業向けに営業を展開した。近年、首都圏で展開する大手スーパーZ社から県内進出に当たっての案件がA社に持ち込まれた(機会)。ただし、取引が始まると、各店舗の適正在庫管理や機動的な商品補充がA社県内事業部で対応できていないなどの問題が顕在化(課題)し、Z社からの物流業務の受託は部分的なものにとどまった。
2024年
2024年、A社では創業経営者の助言に基づいて配置転換を行なった。経営幹部が専務取締役として2代目経営者を支える体制とし、2代目の長男を経営幹部の直下の運送部と倉庫部の統括マネージャーに配置する体制をとった。
問題
一方で、A社を取り巻く課題もいくつか生じてきている。第1に、大手物流企業を中心とする3PL(サードパーティロジスティック)事業者との競争が激化してきたことである。2つ目には、首都圏事業部において「物流の2024年問題」を背景に外部委託先の運送事業者の人手不足の問題が深刻化してきたことである。3つ目には、A社の専門人材が多様化したが、創業時から人事処遇制度はほとんど変更がなされないままであり、処遇面で不満が出ていることである。また、今後、物流の多様化や複雑化への対応が事業者にとって急務になっている。
2代目経営者は、今後、A社が3PL事業者として事業展開を行う上で、中小企業診断士に相談を求めている。
〈回答〉
これはメモしてなかったので覚えてないのですが、以下のような内容を記載したと思います。
(本ブログでは文字数考慮せず記載してます)
問1:
(a)他社の保有しない保管機能を有する自社倉庫。一連の保管業務や流通加工の能力あり。既存顧客との強い関係性
(b)旧態依然の管理体質。受注管理面で非効率。顧客の新規開拓力が弱い
問2:旧態依然の管理体質との切離しによる事業開発の迅速化。新しい組織による風土改革。長女の次期社長としての育成。長女の人的ネットワークの活用。
問3:A社の首都圏における食品スーパーとの取引実績。受注処理の効率化や各店舗の在庫管理ノウハウへの期待。物流システム提案力の高さ。県内における協力事業者や地元顧客との関係性の強さ。
問4
設問1:長男の次期社長としての育成。首都圏事業部と県内事業部の連携強化によるシナジー発揮。県内事業部の社内風土改革。
設問2:首都圏事業部のノウハウを県内事業部に移管。外部委託先の人手不足解消と連携強化、社内の人事処遇制度改革による専門人材のモチベーション向上によるによるサービス向上。管理体制の改善。